2018年9月アーカイブ

9/24(月) 15:03配信

sippo

 静岡市清水区の女性が、犬猫などのペット火葬サービス業を起業した。事務所で受け入れるほか、火葬車を自ら運転し、飼い主宅の敷地で弔う。長年かわいがっていた牧羊犬が老衰死した約20年前の苦い体験が、起業のきっかけだ。

 清水区原にある「ペットセレモニーきずな」を訪ねると、平屋の事務所前にバンタイプの移動火葬車が止まっていた。代表の酒井恵さん(43)が後部を開けると、火葬台と炉が現れた。火葬時間は体重5キロ級の小型犬で45分、体重25キロ級の大型犬で約1時間。燃料は灯油で温度は850?1千度。残るのは人と同様、骨のみだ。

 電話で予約を受ける際、訪問か引き取りか来社かの三つから選んでもらう。傷みが進まないよう、特に腹部や首をドライアイスや保冷剤で十分冷やしてもらうようお願いする。来社の場合は、事務所の敷地で執り行う。人同様、布団や籠に納めて火葬する場合は別料金がかかる。

ペット火葬 線香をあげて最後の別れ

 線香をあげて最後の別れをし、炉をつける。「『ありがとうね』、『がんばったね』と飼い主様が遺体に声をかけます。親族が亡くなった時と同じような光景です」と酒井さん。

 火葬中、飼い主は事務所で待機し、骨を入れるキーホルダーやペット用仏壇といった付随商品も見てもらう。約1時間後、骨を拾って骨つぼに入れてもらう。来社から精算まで所要時間は2時間ほど。

 来社の場合の料金は体重別で、猫や小型犬など5キロ未満の1万5千円から、40キロ未満の大型犬の4万7千円までと幅がある。引き取って火葬し、骨を届ける一任火葬と、火葬車で訪問して飼い主宅で火葬する訪問火葬は、来社より2千?5千円高くなる。

 開業は4月。この約5カ月で受注は60件を超えた。7、8割が来社火葬で、犬猫が8割を占めるという。「『こんなに丁重に弔ってもらい、ありがとう』と感謝される。ペットではあっても、親族同様、あるいはそれ以上の存在なんだと感じた。始めてよかったと思う」と酒井さん。

きっかけは自身のペットの死

 きっかけは小学校の時からかわいがっていたペットの犬の死。市の火葬場に段ボール箱に入れて運んだ。線香を上げることもなく、事務的に集団で、ゴミ焼却のごとく焼かれた。骨も返ってこない。すごすごと帰宅した体験がよみがえる。「気持ちがすとんと落ちない。あんな別れとなったことを心の傷としてひきずっていた」。ペットも人間同様に弔いたい、葬式をし、線香をあげたい――と強く思うようになった。

 そんな中、昨年、姉からペットの火葬業者がいることを知った。インターネットなどで調べると市内には2業者しかなかった。「清水区にはなかった。今やペットは家族同様かそれ以上の存在になった。地位が上がっており、丁重に弔いたい方は少なくない」と、起業を決心した。

 最初反対だった会社員の夫は熱意に折れた。調剤薬局のパート勤務を辞め、小学生の娘の子育てと家事をしながら挑戦した。起業はゼロからのスタート。静岡商工会議所に相談し、会社の設立手続きなどを支援してもらった。ペットの移動火葬車のメーカーを探し当て、滋賀県の会社に発注。3カ月後に新幹線で行き、社長から直々に操作方法を2時間教えてもらい、自ら運転して帰った。

 事務所は借地なので、いずれは自分の敷地を持ちたいという。「訪問火葬サービスのほか、敷地に固定の火葬炉を建ててどんな大型犬も火葬できる施設にしたい」と夢を追いかける。

 ペットの火葬をしている静岡市営の市動物指導センター(葵区)によると、2017年度の火葬は犬1724匹、猫4301匹、ウサギなどその他2233匹の計8258匹。10年前の1万1816匹から3割減った。不妊手術の普及で、子犬や子猫が急減したことが影響しているという。

sippo(朝日新聞社)

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